自閉症の自傷行為の対応とは?
ここでは、「自閉症の自傷行為の対応」についてお話します。
自閉症は脳の器質的な特性によって引き起こされる先天的な障害です。
その症状は個々で違いさまざまです。
自閉症であるからには「ウィングの三つ組」
(対人関係の特異性、コミュニケーションの質的障害、イマジネーションの質的障害)
を満たしている、ということです。
・自閉症の人の自傷行為にはどんなものがあるの?
1.叩く:頭、顔、手、足などを連続的に叩く。
2.噛む:手、足、爪などに噛み付く。
3.むしる:髪の毛、眉毛、爪などをむしりとる。
4:打ち付ける:自分の身体(頭、手など)を壁や床、地面に打ち付ける。
などがあります。
自傷行為は、自閉症の人すべてにあるわけではありませんが、
比較的多くみられる特徴の一つです。
この行為は、軽いものから出血や骨折などのケガになるほどのものまでさまざまです。
また、繰り返し自傷行為をするために、噛んだ痕がタコになってしまったり、
身体が変形してしまう場合もあります。
自傷行為が起こる原因はなに?
一番多いのが、不安やストレスです。
定型発達の人たちは、予定の変更があったとしても、「どうなるのかな?」
といった不安にはなっても、「地球が割れてしまうのではないか?」
というような恐怖感までを感じる人はほとんどいません。
しかし、自閉症の人たちは「イマジネーションの質的障害」のために、
いつもと違うことが起こると、次に何が起こるかの予測が全く出来ないのです。
そのために、ちょっとした不安感というよりは
恐怖感に近い感覚になりパニック状態になるのです。
そのほかの原因としては、自分の意思を通したい時や、
叩いたり噛んだりする感覚を楽しむ場合もあります。
自傷行為の対応策は?
一番大切なのは、自傷行為などのパニックを起こさせない(予防)ような
環境作り(目で見てわかりやすい場所、
「今は何をするとき」かをわかりやすく伝えるためのスケジュールなど)です。
しかし、家や学校など過ごす時間の長いところは整えやすいですが、
はじめて行く場所や支援する側も気付かない場合には、
パニックを起こさせてしまうこともあります。
そうした際は、
1.タイムアウト法
「自分自身で落ち着かせることのできる安全な状況をつくる方法」のことです。
自傷行為が始まったら、刺激の少ない危険のないところに移動させて
(または周りの人に移動してもらって)収まるのを待ちます。
2.代用品を与える
腕などを噛んでしまう場合は、タオルなど噛んでも良いものを与える。
3.環境整備
床などに全面、マットなどのクッション材を敷いたり、
床に頭などを打ち付け始めたら、座布団などを差し込んで
座布団にぶつけさせるようにしたりします。
自傷行為が始まったら、行為そのものを強化せずに
(やることが激しいので、何とかすぐに止めさせようと声をかけたり、
手を出したりするものですが)安全な場所で収まるのを待ちましょう。
あまりにも激しいものである時は、精神科医などに相談し
投薬処置を受けることも大切です。
また、自傷行為の起こった原因をきちんと分析して
対応することが、自傷行為を減らす最短です。